最近、グルメ愛好家や和食の料理人の間で注目されている魚に、ソウダ節で知られるソウダガツオに良く似たスマというあまり聞き慣れない魚がいます。一見したところこの二種の魚は見分けにくいので、ソウダガツオを見慣れた人はスマを見てもソウダガツオと判断してしまうことが多いようです。しかし、スマの胸鰭の下の部分には黒い斑点が数個あり、これが目印となっているので、手にとって体の腹部に着目すれば簡単に見分けられます。この魚は、主に亜熱帯から熱帯の海に棲息していて、東南アジアでは多くの国で漁の対象になっています。比較的水温の高い海を好むため、日本でも伊豆諸島や小笠原、九州・沖縄の海ではよく見られます。食卓に並ぶ機会もあり、刺身にすれば絶品であることも一部の人にはよく知られています。東京ではスマガツオと呼ばれることもありますが、正式名称がスマなのです。西日本地区では、斑点のあることからヤイトといった呼び方をする地区が多くあります。このヤイトというのは肌に残るお灸の跡のことで、高知県ではこれを今度は星に見立てて、ホシガツオと呼んでいます。ほかにも、千葉県ではワタナベ、東京八丈島ではキュウテンと呼び、地方名が豊富なのも特徴です。
スマは大きな群れを作らず小さな群れで行動するので、日本では本格的な漁の対象とされることは少なく、市場に出回ることはあまりありませんでした。時折、釣りファンが磯釣りなどで釣り上げて、美味しさを独り占めする程度だったのです。ところが、近年になって養殖の技術が進歩すると、低水温を克服し、越冬させることに成功したのです。そして、養殖魚として育てられたものがマグロに良く似た味になると評判を呼び、魚市場など鮮魚取り引きの現場などを通して広く知られるようになりました。それから和食の料理人やグルメ愛好家のあいだで注目を集めるようになったというわけです。
しかし、まだ一般にはあまり名前が知られていないのも事実。家庭の食卓に頻繁に並ぶまではまだ時間がかかりそうです。それに、味の良い良型クラスは高値で取り引きされていて、広く流通していくにはいくつか課題があるようです。しかしここに来て、和歌山県では「海の三ツ星」としてブランド化に成功、愛媛県では「小型マグロ」という名称で試食会が開かれるなど、広報活動が頻繁に行われるようになってきました。「本鮪は他の鮪と何が違う?マグロの仕入れで役立つ柵の選び方とは?」もためになりますね。マグロに対して国際的な規制が設けられるなど、マグロ好きの多い日本人にとっては暗いニュースが多い中、新たなスター誕生の気配もあり、今後の動きが注目されるところです。